歯周病おける免疫応答での歯肉上皮細胞の関与について検索するために、1)歯周病患者から採取した歯肉上皮組織のMHC class II、CD80、CD86の免疫組織化学的発現、2)in vitroでの歯肉上皮細胞とT細胞との相互作用について近交系ラットの正常上皮細胞(口蓋歯肉explant)とそのT細胞クローンの共培養システムを用いて検討した。その結果、1)MHC class IIの発現に関しては、ポケット上皮および炎症の存在する辺縁歯肉上皮ならびにその周辺の口腔上皮に発現が認められた。CD80に関しては、ポケット上皮の一部に発現が認められたが、CD86については、発現が認められなかった。2)ラットの正常上皮細胞から分離培養したRPGK-1は、ランゲルハンス細胞の混入がなく、ケラチンを発現していることを確認した。さらに、interferon-γ刺激によりMHC class IIを発現し、CD80は、interferon-γ刺激に関係なく強い発現を認めたが、CD86の発現は、全く認められなかった。このcell lineは、interferon-γ刺激、A.actinomycetemcomitansを供与したときのみT cell clone(G23 クローン)を有意に増殖させた。その増殖は、CTLA 4 Igで60%抑制され、抗MHC class II抗体により80%の抑制が観察された。RPGK-1による増殖は、spleen cellより減少していた。一方、対照として用いた内皮細胞によるG23クローンの増殖は全く認められなかった。これらの結果から、歯肉上皮細胞は、A.aをG23クローンに抗原提示し、かつB7依存的にG23クローンに二つのシグナルを提供する能力、すなわちaccessory cellとしての機能を持っていることが示唆された。
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