研究概要 |
平成12年度では,(1)歯周炎患者の歯周組織におけるラクトフェリンの分布状態および(2)感染防御機構におけるラクトフェリンの役割,について検討する予定であった。 (1)については,ELISA法によるラクトフェリン定量について再度,確認を行った。まず,1/1000希釈ウサギ抗ラクトフェリン抗体によってコーティングしたプレートを1%牛血清アルブミンによってブロッキングした。0.25ng/ml〜128ng/mlに希釈したヒトラクトフェリン溶液を標準血清とした。5名の健常者から採血した血清を希釈し,標準血清と共にプレートに加え室温で2時間インキューベートした。洗浄後,1/1000希釈したペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ラクトフェリン抗体を加えて室温で2時間インキューベートした。プレートを洗浄後,基質溶液を加え発色させた。その結果,血清ラクトフェリン濃度は0.236μg/ml〜0.357μg/mlであった。これらの値は,これまで報告されている濃度と同様であった。歯肉溝滲出液についても,同様に健常者からのサンプルを用いて測定を行った。 また,ポケット内縁上皮および抜去歯表面におけるラクトフェリンの分布については,現在,患者からのサンプルを収集中である。 (2)については,これまでマウスマクロファージで行ってきた感染実験をヒト由来の細胞(HL-60,U-937,THP-1)に細胞を換えて実験系を組み立てている途中である。実験系が確立次第,ヒトマクロファージのリポ多糖あるいは炎症性サイトカインに対する反応性にラクトフェリンがどの様に影響するか検討する予定である。
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