研究概要 |
若年性歯周炎の原因としてプラーク(細菌塊)がその直接の原因と考えられている。特にActinob acillus actinom ycetemcomitans(Aa)が原因菌として重要視されている。我々は歯周炎における免疫応答の生物学的意義を明らかにするため、歯周炎とAa感染のヒト病熊マウスモデルをJackson Labs由来のNOD-SCIDマウスを用いて確立した。NOD-SCIDマウスは補体活性、NK細胞、マクロファージを欠くためヒト組織の移植定着の効率が通常のSCIDマウスよりもはるかに良いが、飼育、繁殖には厳重な衛生管理が要求される。このマウスに歯周炎患者からの末梢血リンパ球(1x10^7)を腹腔内に移植した(NOD-SCIDマウスはSCIDマウスと異なりヒトリンパ球を移植されてもXGvHDの兆候を示すことはない)。さらにAa(10^9cfu)をこのマウスの口腔内に毎週2回、3週間に渡り接種した。接種後3、5週目にマウスを屠殺し、歯周組織を病理組織学的に検討した。Aaを接種されたマウスにおいてのみリンパ球の浸潤が観察された。さらにヒトCD4,CD8,CD45特異的なマウスモノクローナル抗体で免疫組織化学的検索を行いヒトリンパ球の浸潤を確認した。稀なケースではCD19^+B細胞(約200のセクショシのうち1)が観察された。これらの結果はこのマウスモデルが歯周炎のヒト病態動物モデルとして使用できることを示している。現在、Aa抗原に対するヒトT細胞の免疫応答を解析中である。
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