研究概要 |
1.歯肉内縁上皮の接着分子の発現状況について インフォームドコンセントの得られた歯周炎患者より歯周外科手術時に採取した歯肉材料を用いて、凍結切片による組織免疫化学法および器官培養系によるインテグリンのair-liquid interface cultureを行いin vivoおよびin vitroにおける接着分子の発現状況を検討した。その結果、in vivoおよびin vitro双方において、歯肉溝内縁上皮には、ICAM-1が構成的に発現していることを認め、これが、好中球に対するカウンターレセプターの最有力候補であることが考えられる。一方、CD62e, CD62等セレクチンの発現は、歯肉溝内縁上皮においては認められなかったが、α6β1インテグリンの発現を認められたことから、歯肉溝内への好中球の滲溶出にICAM-1、インテグリンの双方が関与することが示唆された。 2.歯肉溝内縁上皮と好中球の相互作用について 器官培養系を応用した好中球-上皮細胞共培養系における細胞傷害性の実験から、歯周病原性細菌食食依存性に好中球は、有意に高い活性酸素、エラスターゼ、TNFα、MMP-8および9を放出し、歯肉上皮細胞を傷害することが示された。これらの各要素を個別に阻害しても有意な抑制効果は静められず、複合的な好中球由来傷害因子が歯肉上皮細胞の傷害性に関与していることが考えられた。この歯周病原性細菌貧食依存性の好中球の歯肉上皮細胞に対する傷害性は、歯周病原性細菌の種類によって有意な差異は認められなかった。
|