研究概要 |
寒冷地特有のアルカロイド含有植物エゾユズリハ、ハイイヌガヤ、リコポジウムを材料とし、特異な骨格を有する新規アルカロイドの分離、精製を行った。 1.エゾユズリハ アザアダマンタン骨格の新規骨格アルカロイドの他に、daphnezomine FおよびGと命名した1-azabicyclo[5.2.2]undecaneの部分構造を有する新規骨格のアルカロイドを単離し、構造を解明した。これらは、yuzurimineとの関係において生合成的に興味深いアルカロイドである。また、daphnezomine H,I,J,Kはdaphnilactoneあるいはyuzurimineタイプの新規化合物であるが、daphnezomine JのようなBredt則に反するimineが天然から得られたのは初めての例である。 2.ハイイヌガヤ cephalezomine A〜Fと命名した新規セファロタキサン骨格のアルカロイドを単離し、それらの構造を絶対立体配置を含めて決定した。これらは、特にKB細胞に対して非常に強力な殺細胞活性を示した。 3.リコポジウム 多くの種が自生するリコポジウム属植物の中で、ホソバトウゲシバとアスヒカズラに関して、新規骨格のアルカロイドを探索した結果、ホソバトウゲシバよりserratezomine Aと命名したseco-serratinineタイプの新規骨格アルカロドをはじめとして、serratinineおよびlycodolineタイプのserratezomine B,Cを単離し、構造を明らかにした。また、アスヒカズラからはlycodineタイプのアルカロイドが2量化した新規complanadine Aを単離した。このように、2量化体のリコポジウムアルカロイドは初めての例である。
|