研究概要 |
C_2対称なキラル体は近年不斉補助基やキラル合成素子として重要な化合物群であることは十分に認識されている.これまでに二官能性基質であるグルタルアルデヒドに対し,二重不斉アリルホウ素化(AAB)を行うことで得られるC_2対称ジオールからC2対称2,6位ジアリルピペリジン型キラル合成素子を創製した.さらにこのキラル素子からピペリジン関連アルカロイドの不斉合成に成功した.今年度は前年度に引き続きC_2対称性の高い大環状アルカロイドである(-)-lythrandineの合成を検討した.その結果有用な合成中間体である2,6位にエポキシド基を有するC_2対称ピペリジン体の合成をヨードカルバメート化で一方のアリル基を保護したのち、エポキシ化、オキサゾリン環の開裂後再びエポキシ化で目的物の合成を行うことが出来た.さらにエポキシ環の開環を伴うベンジル化を検討したが現時点では選択性が低い結果になっている。 次に,C_2対称2,6位ジアリルピロリジン型キラル合成素子の創製を検討した.サクシニルアルデヒドに対して二重AABを行いC_2対称ジオールに導き最終的にN-ベンジルC_2対称2,6位ジアリルピロリジン体を得ることができた.このピロリジン型キラル素子のウレタン型に変換する際,ピペリジン型と違い環が小さいため環開裂が優先してしまうことが判明したので、一旦脱ベンジル化後ウレタン型への変換を行った。このウレタン体に対してC_2対称性の特性を利用したヨードカルバメート化を行うこ,とでピロリジン型生物活性アルカロイドの不斉合成の検討を行った. 以上,今年度はC_2対称2,6位ジアリルピペリジン型キラル合成素子の有用性の検討とあらたにC_2対称2,6位ジアリルピロリジン型キラル素子を創製することができた.
|