研究概要 |
平成12年度の1次スクリーニングにより選別した福岡近海産のホヤ(SP-40/99、現在同定中)より、マウスマクロファージ様細胞(RAW264)を用い、LPS刺激に対するTNFα産生抑制活性を指標に分離精製を行い、2種の酸化ステロール(7-ketocholesterol,7β-hydroxycholestero1)を単離・同定した。また、平成13年度は沖縄近海の海洋無脊椎動物を新たに採取し同手法により1次スクリーニングを行った。その結果、腔腸動物の軟サンゴ類に広範囲に活性が認められた。これら軟サンゴ類の中、沖縄県辺戸岬にて採取したSinularia sp.より活性を指標に分離精製し、2種の活性化合物を単離した。更に、各種スペクトルデータによる構造決定を行い、これらを構造既知のノルジテルペノイドnorcembrenolide及びsinuleptolideと同定した。 更に、今回同定した3種の化合物(7-ketocholesterol、norcembrenolide、sinuleptolide)を用い、インビトロでのTNFα産生抑制活性を検討したところ、3種の化合物とも濃度依存的にTNFαの産生を抑制した。また、活性の強さはポジティブコントロールのプレドニゾロンど同等あるいはそれ以上であった。更に比較的収量の多い7-ketocholesterolおよびnorcembrenolideについてはC3H/HeNマウスを用いLPS刺激に対するインビボでのTNFα産生抑制を検討した。その結果、7-ketocholesterolは10mg/kgの投与によりプレドニゾロンと同等のTNFα産生抑制活性を示した。また、norcembrenolideについては30mg/kgの投与では逆にTNFαの産生を促進するものの、10mg/kg以下の投与量でTNFαの産生を抑制する効果が認められた。現在、norcembrenolideのマウスに対するTNFα産生抑制活性を再評価している。
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