研究概要 |
アトロプ選択的ビアリール合成法としてUllmanカップリング、銅アミン錯体等に加え、最近horseradish peroxidaseを用いたアトロプ選択的ビアリール合成法が報告されその選択性について疑問視する論文も出る等世界中でhorseradish peroxidaseを使った合成法が着目されている。一方申請者は茶のペルオキシダーゼ活性がhorseradlsh peroxidaseに比べ非常に高いことを報告しており今回各種植物ペルオキシダゼを用いアトロプ選択的ビアリール合成法の開発を行い以下の知見が得られた。 各種植物培養細胞を用い検討した結果、茶培養細胞が高いペルオキシダーゼ活性を有することを見い出した。茶培養細胞を用い、2-ナフトールのアトロプ選択的カップリング反応に関する検討を行った結果、アトロプ選択性発現因子として、過酸化水素添加量と濃度が大きな影響を及ぼすことを見い出した。さらに置換基効果、固定化培養細胞を用いたアトロプ選択性発現に及ぼす効果及び細胞育成条件の影響についても検討を行った。各種2-ナフトール誘導体にて実験を行った結果、2-ナフトールでは、収率46.7%,不斉収率58.6%にてアトロプ選択的にビアリールカップリング反応が進行しR体を、6-ブロモ-2-ナフトールでは、収率28.3%,不斉収率36.2%にて,7-メトキシ-2-ナフトールでは、収率33.6%,不斉収率15.8%にて、それぞれいずれもS体が得られた。2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸メチルでは、反応は進行せず原料回収であった。
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