研究概要 |
平成14年度は以下の成果を得た. 1.トリメチルシリルジアゾメタンのリチウム塩(Me_3SiC(Li)N_2)を用いるo-アシルアニリン類より3-置換インドール類の新規1工程合成法の開発. まずo-アミノアセトフェノンおよび種々のN-置換o-アミノアセトフェノンを用いて反応条件,N置換基の影響を検討したところ,N-トシル(or メシル)体とMe_3SiC(Li)N_2をテトラヒドロフラン中-78℃,1時間,0℃,2時間反応させると,発生するアルキリデンカルベンが分子内でN-Hに挿入反応を起こして83%の好収率で目的のN-トシル-3-メチルインドールが1工程で得られることを見出した.つぎにオルト位のアシル基およびベンゼン環上の置換基を種々変えたN-トシルo-アシルアニリン類を用いて本反応の一般性を検討した.これまでの結果では63〜91%の好収率で対応するN-トシル-3-置換インドールが得られており,現在この新規な1工程インドール合成法の一般性を確立中である. 2.Me_3SiC(Li)N_2を用いる4-アリール-2-オキソブタン酸エステルよりアズレン-1-カルボキシレート類の新規合成法の開発. 4-フェニル-2-オキソブタン酸エステルとMe_3SiC(Li)N_2をジエチルエーテル中で反応させるとMe_3SiC(Li)N_2はオキソ酸エステルのケトン部位と選択的に反応してアルキリデンカルベンを発生することを見出した.このアルキリデンカルベンは分子内でベンゼン環に挿入反応を起こし,6-3-5員環の縮合三環系中間体を生成後,環拡大を起こし収率よく2,3-ジヒドロアズレン-1-カルボキシレートが得られることを見出した.さらに,このジヒドロアズレンを二酸化マンガンで酸化するとアズレンに変換できることも判明した.本反応はベンゼン環の環拡大により7員環を構築するというユニークな特徴を有しており,現在4-アリール-2-オキソブタン酸エステルよりアズレンの二工程合成法の一般性を確立中である.
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