研究概要 |
1.B5培地で2週間前培養したColeus forskohlii毛状根に[1-^<13>C]glucoseを投与し,さらに2週間培養して毛状根を収穫した。毛状根をMeOHにて抽出し,常法にて処理後,得られたEtOAc画分を各種クロマトグラフィーによりforskolinおよびforskolin類縁体を単離した。^<13>C-NMRによってforskolinおよびこれ等forskolin類縁体への[1-^<13>C]glucoseの取り込みパターンを解析した。その結果,C. forskohliiのジテルペンは非メバロン酸経路によって生合成されることが明らかになった。さらに,C. forskohlii毛状根において非メバロン酸経路以外にメバロン酸経路が働いていることを明らかにするために,betulinic acidを単離した。[1-^<13>Clglucoseの取り込みパターンを解析した結果,betulinic acidがメバロン酸経路で生合成されることを確認した。この事から,C.forskohlii毛状根においてメバロン酸経路および非メバロン酸経路の両経路が働いていることが明らかになった。 2.Forskolin生合成の中間体の単離を目的として,C. forskohlii毛状根を大量に培養し,その成分を精査した結果,新規ラブダン型ジテルペン4種を含む計17種のジテルペンを単離した。単離した化合物の構造よりforskolin生合成ルートを推察した。Forskolin生合成を明らかにするには生合成中間体の投与実験が必要と考えられる。今回単離した化合物は,forskolin生合成遺伝子の機能解析において,発現タンパク質の酵素活性測定の際の基質として用い得ると考えている。 3.ジテルペン閉環酵素のクローニングを試みた。既にクローニングされているcopalyl diphosphate synthase (CPS)のアミノ酸配列から縮重プライマーを作成し,RT-PCRを行った。その結果,3種のPCR産物が認められたが,現時点ではCPSと相同性を有するクローンは得られていない。
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