プミリオトキシンは、中南米の熱帯林中に生息するヤドクガエルの皮膚分泌物から抽出された、強力な強心及び筋緊張作用を引き起こす一群の微量アルカロイドである。本研究はこれらのアルカロイドのうちプミリオトキシンA類に属するアルカロイドの収束型一般合成の確立を目的とする。平成12年度においては、プミリオトキシンA類の中で生物活性が最強で、かつ最も構造の複雑なプミリオトキシンBを対象とし、インドリジジンセグメントと側鎖セグメントのクロスカップリング反応を鍵段階とする合成経路によりその不斉全合成に成功した。合成の概要は以下の通りである。 光学活性プロパルギルアルコールより調製したバリウム化合物と(S)-アセチルピロリジンに作用させて得たアミノアルコールを、分子内環化反応によりインドリジジンセグメントへ導いた。一方、D-トレイトール誘導体より光学活性(E)-ヨードペンテンセグメントを合成し、これを先のインドリジジンセグメントより誘導した亜鉛化合物とのクロスカップリング反応により連結し、プミリオトキシンBの不斉全合成に成功した。
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