プミリオトキシンA類は、中南米の熱帯林中に生息するヤドクガエルの皮膚分泌物から抽出された、強力な強心及び筋緊張作用を引き起こす一群のアルカロイドである。これらのアルカロイドは共通して(Z)-6-アルキリデンインドリジジン骨格を含んでおり、個々のアルカロイドは6位の側鎖構造が異なるだけである。プミリオトキシンA類のこのような構造上の特徴に着目すれば、インドリチジンフラグメントと側鎖フラグメントをクロスカップリング反応により連結する収束的合成法によりすべてのプミリオトキシンの合成が可能になるものと考えられる。申請者は、このような合成戦略に基づき平成12年度に(+)-インドリジジンBの全合成に成功した。 平成13年度には、この成果をさらに発展させ、上記収束的合成法をプミリオトキシンA類の一般的合成法として確立するために(+)-インドリチジンAを標的とする合成研究を行った。初めにクロスカップリング反応に用いる側鎖フラグメントとして(R)-グリシドールよりヨードアルケン誘導体を合成し、これをインドリジジンフラグメントの亜鉛化合物と反応させクロスカップリングを行った。次いで脱保護の工程を経て(+)-インドリチジンAの不斉全合成を達成した。
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