細胞内情報伝達系制御分子デザイン・合成をの1)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)阻害剤の合成と活性評価:PNPは、T-細胞白血病などの細胞性免疫の不全による疾患の治療薬および免疫抑制薬としての有効性が期待されている。無機リン酸のミミックとしてジフルオロメチルホスホン酸基[CF_2P(O)(OH)_2]とプリン塩基をアルキルスペーサーで連結したヌクレオチドアナログを系統的に合成しPNP阻害活性を評価した。直鎖状のメチレン鎖を三員環でトランスに配座固定したヌクレオチドアナログは直鎖状のものよりも高いPNP阻害活性を示した。アルキルスペーサーに酸素原子を含む環として、テトラヒドロフラン環あるいはテトラヒドロピラン環を含むアルキルスペーサーのシスおよびトランスの2種の異性体をそれぞれプリン塩基と連結し、ヌクレオチドアナログを合成した。それらのPNP阻害活性を評価したところ、いずれの含酸素環にしてもヒと由来のPNPに対してシス異性体がトランス異性体よりも高い阻害活性を示した。アルキルスペーサーがシスーテトラヒドロピラン環が最も活性が高くIC_<50>=38nMであった。 2)プロテインチロシンスファターゼ(PTP)阻害剤の合成と活性評価:PTPの基質となる非ペプチド系低分子量型PTP阻害剤の合成を目的にヨードベンゼン誘導体とCuZnCF_2P(O)(OH)_2とのカップリング反応によりアリールジフルオロホスホン誘導体を合成し、PTP阻害剤活性を評価したところ、ベンゼン環上の置換基の疎水性が阻害活性と関係があることが明らかになった。アリールジフルオロホスホン誘導体をローソン試薬でホスホのチオエート誘導体に変換し、活性を比較したところ、相当するジフルオロメチレンホスホン酸誘導とほぼ同程度の阻害阻害活性がみられた。
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