研究概要 |
細胞内情報伝達系制御分子のデザイン・合成に関する研究を行った。研究成果を以下に要約する。 1)スフィンゴミエリナーゼ(SMase)阻害剤の合成と活性評価:スフィンゴミエリンのコリン部を除去したホスホセラミドの構造修飾を基盤におき、長鎖アルケニル基をフェニルに置き換えた数種の類縁体を合成した。L-セリンから合成した天然型の立体化学を有する誘導体(IC_<50>=181μM)よりもD-セリンから誘導された非然型類縁体のエナンチオマー体(C_<50>=5μM)の方に高い阻害活性が観察された。 2)ジフルオロメチルホスホニル酸基[CF_2P(O)(OEt)_2]を有するアレン誘導体の合成:プロパルギルトシレートあるいはプロパルギルアセテートの誘導体とBrCuZnCF_2P(O)(OEt)_2との反応により、高収率で標記のアレン誘導体を得た。 3)ジフルオロメチルホスホニル酸基[CF_2P(O)(OEt)_2]を有する6員環状化合物の新規合成:CF_2P(O)(OEt)_2基を有する1,3-ブタジエン誘導体と無水マレイン酸、マレイミド類とのDiels-Alder反応により標記の6員環状化合物を立体選択的に合成した。 4)核酸塩基を有するβ-アミノ酸の不斉合成:核酸塩基を有するβ-アミノア酸のオリゴマーの合成により、ペプチド核酸を合成する目的で、核酸塩基を有するβ-アミノア酸の不斉合成を検討した。2位にN^3-ベンソイルチミンを有する1,3-プロパンジオールをリパーゼPSを用いて速度論的アシル化を行い、高い光学純度でモノエステルを得た。水酸基をアミノ基に変換、次いでアセトキシ基をカルボキシル基に変換し、相当するβ-アミノ酸に誘導した。 5)ジフルオロメチルホスホニル酸基を有する3員環状化合物の合成:アリルジフルオロメチルホスホン酸エステル誘導体をジアゾメタンと反応させて得られるピラゾリジン体を光反応にふし、標記の3員環化合物を合成した。
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