研究概要 |
交付申請書「研究の目的・研究実施計画」本年度分5項目のうち,ほぼ4項目が達成できた。 1.先にその簡便かつ実用的な一般合成法を確立している1-ベンゾセレノピリリウム塩の反応性解明の一環として,グリニヤール試薬との反応を検討した。その結果,2,4-ジ炭素官能基置換のセレノクロメン類が合成でき,さらにこれらを対応するピリリウム塩に誘導した(J.Heterocyclic Chem.,39,in press.)。 2.上記項目のテルルアナログである1-ベンゾテルルピリリウム塩については,同様なルートによる合成はできなかった。そこで別経路を探索した結果,テルロクロモン類とのグリニヤール試薬との反応により4-ヒドロキシ体を経由することで,2,4-ジ炭素官能基置換1-ベンゾテルルピリリウム塩の一般合成法として,確立することができた(Hetelocycles,57,in press.)。 3.上記項目の位置異性体である2-ベンゾテルロピリリウム塩は,当研究代表者が最近その合成に成功したリング・システムであり,そのセレンアナログを含めいくつかの誘導体を合成した。加えてその単結晶X線構造解析を行い,その構造についても言及した(J.Chem.Soc., Perkin transactions 1,2002,606.)。 4.本研究課題であるテルル原子を含む新規な複素環化合物合成の戦略であるテルロール類の分子内三重結合への環化付加反応による複素環合成について,この数年来の成果の整理を行い,総説としてまとめた(有機合成化学協会誌,59,355)。
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