研究概要 |
地膚子(Kochia scoparia,果実)の主サポニンmomordin Icおよび西洋トチノキ(Aesculus hippocastanum)種子サポニンescin類の胃排出能抑制作用および小腸内輸送能亢進作用に関与する神経メディエーターについて検討した.いずれのサポニンも胃排出能抑制作用にはドーパミン(DA)がメディエーターとして関与しており,DA_2受容体刺激によってプロスタグランジン類(PGs)を遊離させ,最終的に胃排出能を抑制させることを明らかにした.一方,小腸内輸送能亢進作用にはDAは関与しておらず,セロトニン(5-HT)合成阻害剤および5-HT拮抗薬を用いた実験結果から,5-HTがメディエーターとして重要であることが判明した.さらにPG合成阻害剤や一酸化窒素合成阻害剤を併用した実験結果から,5-HT_2受容体刺激によって一酸化窒素(NO)またはPGsを遊離させ,最終的に小腸内輸送能を亢進させることが明らかとなった.また,escin類のMg^<2+>吸収促進作用には小腸内輸送能作用と同様,少なくともNOが関与していることを証明した. 機能性サポニンの探索研究として,フェヌグリーク(Trigonella foenum-graceum,種子)からフロスタノール型サポニンtrigoneoside類,フサザクラ(Euptelea polyandra,葉)からノルオレアナン型サポニンeupteleasaponin類,茶(Comellia sinensis var.assamica,種子および葉)からアシル化ポリヒドロキシオレアネン型サポニンassamsaponin類,エンドウ豆(Pisum sativum,種子)からオレアネン型サポニンpisumsaponin類,沖縄県産ニガウリ(Momordica charantia,果実)からククルビタン型サポニンgoyaglycoside類とオレアナン型サポニンgoyasaponin類など計54種の新規サポニンを単離し,それらの化学構造を決定した. これらサポニンに血糖値上昇の抑制,胃排出能抑制,胃粘膜保護,小腸内輸送能亢進,薬物耐性の抑制,血小板凝集亢進,アルドース還元酵素阻害および免疫増強活性のあることを明らかにした.
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