研究実施計画にもとずき、センダン科Aglaia属植物(インドネシア、ボゴール植物園より試料を調達)および日本の主として南西諸島に生育する植物を葉部を中心に採取し、成分の検索および生物活性の検討を行ない、次に示す(1)-(5)の結果を得た。 (1)Aglaia grandisの葉部よりすでに報告したプレグナン型ステロイドやサイクロアルタンヒドロパーオキシド型トリテルペンの他に、新たにアロマデンドラン型セスキテルペン1種と3種の新規プトレスシンジアミド体を単離し、それらの構造を報告した。また本植物の細枝からはこれまでに新規および既知の各種セスキテルペノイド類等を単離した。 (2)すでにトリテルペンを中心に成分解明を行ったAglaia harmsiana葉に含まれるサイクロアルタン型トリテルペン類の内、側鎖部24-位の水酸基の絶対配置が不明確であった化合物のX線結晶構造解析を行い、水酸基の絶対配置が推定どうり(R)-配置であることを明らかにした。 (3)Aglaia ellipticaの葉部からは、新規および既知アミノピロリジンのジアミド体、おのおの2種を3種のサイクロアルタン型トリテルペノイドとともに単離し、それらの構造を決定した。 (4)Aglaia属植物中の特異成分であるアミノピロリジン系化台物、odorineおよびodorinolについて、1n vitroの系での抗腫瘍活性を検討し、これらの化合物が抗発がんイニシエーターおよびプロモータ-として強い活性があることを報告した。 (5)(1)〜(3)の研究で得た各種トリテルペン、ステロイドおよびセスキテルペン類について、がん細胞に対する細胞毒性の検討を現在行っている。
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