研究概要 |
平成13年度は前年度に引続き、植物、生薬の収集とエキスの調製、腫瘍細胞に対す細胞増殖抑制効果の検定を続行するとともに、活性成分の分画、単離同定を行った。新たに採集した植物、生薬検体は邦産、外国産植物を合わせて286検体で、その増殖抑制効果の検定した。いづれかの腫瘍細胞に対して50%増殖抑制濃度(GI50)が12.5μg/ml以下のものは82検体あったが、成分未同定の植物について活性成分の同定を行っている。今年度に行った主な業績は、(1)クサギ樹皮の活性成分であるacteosideの部分加水分解を行い、分解産物の活性を比較してacteosideの活性にはコーヒー酸部分よりも、3,4-dihydroxyphenethyl alcohol部分の寄与が大きいことを明らかにした。(2)クマツヅラ、アレチハナガサ地上部の活性成分としてacteoside, isoacteoside, ursolicacidを同定。(3)コバノランタナ葉の活性成分としてapigeninおよび10種類の5,6,7-tri-Oxygenated flavone類を単離し、構造と活性の相関を調べた。(4)ホルトノキ樹皮の活性成分として数種のタンニン類を同定。(5)喫茶と胃ガン低罹患率の因果関係を化学的に明らかにするために茶葉の熱抽出物を胃ガン細胞増殖抑制効果を指標として分画し、活性成分としてepicatechin, epigallocatechin, gallocatechin,およびそれらのgallateを単離したこと。なお、今年度、中国の楊教授より25種の中国産植物エキスが送付されてき、それらの細胞増殖抑制効果の検定も行った。いづれかの細胞に対してGI50が12.5μg/mlの検体数は9検体で成分共同研究を打診しているが、音信が徐絶え、今後の共同研究に対して危倶を抱いている。
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