研究概要 |
活性酸素種消去を作用機序とする天然抗I型アレルギー物質の探索を目的として,茶(Cammellia sinensis)葉より単離された43種のポリフェノール類について,ロダン鉄法による抗酸化活性試験を行った.また,それらの中で一部の化合物に,DPPH消去活性,ならびにヒアルロニダーゼ活性阻害効果を測定した.その結果,ロダン鉄法で32種の化合物にα-tocopherolよりも強い活性を見出した.特に,加水分解型タンニンの1,4,6-tri-O-galloyl-β-D-glucoseが最も強い活性を示し,その活性は合成抗酸化物質のBHAよりも強かった.また,flavan-3-ol類において,3位に結合するgalloyl基,3-O-methyl-galloyl基,およびP-coumaroyl基が活性発現に重要であるという知見が得られた.また,5種の化合物にDPPH消去活性試験を行い,すべての化合物にα-tocopherolよりも強いスカベンジング効果が観察された.さらに,8種の化合物にヒアルロニダーゼ活性阻害試験を行い,gallic acidを除く,すべての化合物に市販の抗アレルギー剤のtranilastと同程度,あるいはそれ以上の活性阻害効果を見出した.特に,それらの中で2種は,抗アレルギー剤のDSCGよりも強い活性を示した.この活性阻害試験において,proanthocyanidin類の上部ユニットのB環がcatechol構造のものに,pyrogallol構造のものより強い阻害効果が観察された.また,この阻害効果は下部ユニットの3位がgalloyl基でアシル化されると上昇した.さらに,theasinesin類においても,3位に結合するgalloyl基の数が増加するに伴い,阻害効果は上昇した.
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