研究概要 |
現在,注目されている脳内物質として脳内ステロイドホルモン(ニューロステロイド)があり,そのなかでもdehydroepiandrosterone 3-sulfateやpregnenolone 3-sulfateなどの硫酸抱合型ニューロステロイドに多大な関心が寄せられている.特にdehydroepiandrosterone 3-sulfateは,早老性モデルで不治の病である筋緊張性ジストロフィーに極めて有効なことが判明し最近のトピックスとされている.しかし,最近申請者らは,LC/MSによるこれらの分析法を開発し実試料へ適用したところ,いずれの抱合体の存在量もLC/MSの検出下限以下であり,従来の文献値より遥かに低値(1/20以下)を示すことから,本法では測定困難なことが判明した.そこで,本年度はdehydroepiandrosterone 3-sulfateの超高感度で高選択的な新規酵素免疫測定法を開発し,本硫酸抱合体の生理的意義解明を企てんとした. まず,dehydroepiandrosteroneの微生物酸化により得られる11α-hydroxy体を出発物質として,11位にブリッジを有するdehydroepiandrosterone 3-sulfateに対する新規ハプテンを合成した.得られたハプテンを複数の家兎に免疫し本硫酸抱合体に特異的ポリクローナル抗体を得た.ついで,得られた抗体を用いて新規酵素免疫測定法(ELISA)を開発したが,これはブリッジヘテロロガス法と遅延添加法を駆使した超高感度,高選択的な測定法であった. 現在開発した方法を,実試料(ラット脳)へ適用中であり,その成果が期待される.
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