研究概要 |
私達はこれまでにスペルミジン(PA(34))とd(CG)3複合体、サーモスペルミン(PA(343)とd(CG)_3複合体、N'-(2-Amino-ethyl)-butane-1,4-diamine(PA(24))とd(CG)_3、N'-[2-(2-Amino-ethylamino)-ethyl-ethane-1,2-diamine(PA(222))とd(CG)_3複合体、N'-{2-[2-(2-Amino-ethylamino)-ethylamino]-ethyl}-ethane-1,2-diamine(PA(222))とd(CG)_3複合体、サーミン(PA(333))とd(CG)_3複合体のX-線結晶構造解析を行った結果aminoethyl基が丁度、燐酸間、塩基間距離に相当しマイナーグルーブに入るZ-DNAを安定化することが明らかとなった.ポリアミンが常温でZ-DNAのマイナーグルーブを認識し完全にマイナーグルーブに入った状態でX-線結晶構造解析できたのは世界ではじめてである.PA(222)は1分子、PA(2222)は2分子がZ-DNAのマイナーグルーブに入ることを明らかにした.更にPA(333)分子は天然のポリアミンではじめて常温でZ-DNAのマイナーグループに2分子入ることを明らかにした.これらのポリアミンはマイナーグルーブに入りZ-DNAの安定化を行っていることが明らかとなった.またZ-DNAのマイナーグルーブは非常に大きなキャビティを持っており非常に不安定であるがこれらポリアミンはそのキャビティを埋めることを明らかにした.分子動力学計算によっても金属イオン、これらのポリアミンがZ-DNAを安定化することをあきらかにし、金属イオンはMg^<2+>>Cs^+>K^+>Na^+の順番でZ-DNAを安定化することが明らかになりこの結果はTMの値と一致していた.更に私達はPA(2222)というポリアミンを用いてこれまで誰もが成し得なかった長鎖のZ-DNAの結晶化、X線結晶構造解析に成功し、その結果、理論上存在するが解析されたのははじめてであるZ'-DNAであることが明らかとなり世界ではじめての解析に成功した.更にB-Z転移を明らかにするためにB-Z混合型のDNAの結晶化に挑み世界で初めて結晶化に成功した.これらによって発癌機構などの解明に新たな分野を開拓したことになる.更に重大な発見を私達は行うことができたそれはPA(2222)分子がZ-DNAのマイナーグルーブに入ることによって電子伝達を行うヌクレオチドによるポリアミンナノチュウーブを形成していることを発見しこの発見は今後、神経伝達、ナノチップなどに応用されることが期待される.
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