気中懸濁被覆法によるペプチド性医薬品の特殊放出制御型マイクロカプセル化製剤の開発-長時間遅延放出・周期的パルス放出・刺激応答性放出機構に基づく薬物送達の高効率化-

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12672098
• 研究機関: 神戸学院大学
• 研究代表者: 市川 秀喜 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (00248105)
• 研究分担者: 福森 義信 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (60102927)
• キーワード: マイクロカプセル / 放出制御 / ペプチド / 高分子ハイドロゲル / コーティング / ポリマー / ナノパーティクル / 刺激応答性高分子

研究概要

ペプチド性医薬品の効率的な生体内送達を実現すべく、申請者らが独自に開発した気中懸濁法微粒子被覆技術および刺激応答性高分子ゲルのナノサイズ化技術により、以下の素材および製剤化検討を実施した。
1.長時間遅延放出型MC
芯粒子に90-105μmの乳糖、モデル薬物に蛍光標識デキストラン(FITC-Dex)、放出制御膜に乳化重合法により合成したアクリル酸エチル(EA)-メタクリル酸メチル(MMA)-メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)3元共重合本を用いて初期のラグタイムとその後の急速な放出で特徴づけられる長時間遅延放出を示すMCの調製に成功した。ラグタイムは放出制御膜厚及びモノマー組成比により1-10時間にわたって調節できた。
2.パルス放出制御型MC
ペプチドのMC化に際して、高含量のベプチドが安定に保持可能なpoly(ethylene glycol)(PEG)をグラフト化したpoly(N-isopropylacrylamide)ナノ粒子を分散重合法により合成した。低温での平衡分配法による本ナノ粒子への封入によりインスリンを最高65%の含量で保持でき、80℃、1時間の過酷条件での暴露によっても60%以上がインタクトな状態であることを明らかにした。
3.刺激応答性放出制御型MC
メタクリル酸-メタクリル酸PEG誘導本(P(MAA-g-EG))からなるpH応答性ナノ粒子および温度応答性P(NIPAAm)ナノ粒子を分散重合法により合成した。P(NIPAAm)ナノ粒子とエチルセルロース(EC)ナノ粒子のブレンド膜からなるMCは、FITC-Dex(Mw4400)を高温で放出、低温で非放出するオン-オフ型の温度応答性放出を示した。一方、P(MMA-g-EG)ナノ粒子とECナノ粒子からなるMCは、pH応答性薬物放出を示したが、オン状態での放出速度が低く、今後、MC処方の最適化が必要と思われる。

研究成果

• [文献書誌] Hideki Ichikawa,Yoshinobu Fukumori: "A Novel Positively Thermosensitive Controlled-Release Microcapsules with Membrane of Nano-sized poly (N-isopropylacrylamide) Gel Dispersed in Ethylcellulose Matrix"Journal of Controlled Release. 63(1-2). 107-119 (2000)
• [文献書誌] Kaori Jono,Hideki Ichikawa,Masahito Miyamoto,Yoshinobu Fukumori: "A Review of Particulate Design for Pharmaceutical Powders and Their Production by Spouted Bed Coating"Powder Technology. 113. 269-277 (2000)
• [文献書誌] N.A.Peppas,W.Leobandung,P.Bures,H.Ichikawa: "Hydrogels in Pharmaceutical Formulations"European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics. 50. 27-46 (2000)
• [文献書誌] 市川秀喜,福森義信: "微粒子・粉体の最先端技術"株式会社シーエムシー. 288 (2000)
• [文献書誌] Yoshinobu Fukumori ほか5名: "Second International Conference on Processing Materials for Properties"TMS Publications. 1138 (2000)