研究概要 |
1)細胞レベルでWRNがSUMO-1化修飾をうけること(J.Biol.Chem.275,20963-20966,2000)を証明した。またWHIP(Werner Helicase Interacting Protein)についても細胞内で内在性のWRNとWHIPが免疫沈降可能な複合体形成することを証明した(J.Biol.Chem.,revised)。 2)FLAG-WRNを過剰発現した細胞からFLAG抗体を用いて共沈するタンパク質を、MALDI-TOFMassを用いて解析したところ、DNA-PKcs,Ku86/Ku70複合体を得た。WRNとDNA-PKcsの相互作用は本研究で初めて見いだした。 3)mWRN,mWHIP,hKu86/hKu70,hRPA等の組換えタンパク質をバキュロウイルスを利用した発現系等を用いて得た。mWRNとmWHIPはATPに依存して直接結合できることを証明した。しかし、mWHIPはmWRNのDNA helicase活性,DNA依存性ATPase活性のいずれにも影響を与えなかった。 4)脊椎動物細胞を用いて、WHIP欠損株及びUBC9条件致死株を作製した。WHIP株は細胞の増殖に必須ではなかった。UBC9株は致死の条件下で、S期の細胞での染色体異常が原因と思われるアポトーシスの亢進により死に至ることが示唆された。 5)出芽酵母のWRN,WHIPホモローグの欠損変異株sgs1,ywhipの遺伝学的解析の結果、WhipはDNAポリメラーゼδの関わるpost-replication修復の上流及びSgs1の働くrecombination repairの上流で働き、その両修復経路へのスイッチの役割を果たすことが示唆された。
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