研究課題/領域番号 |
12672106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
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研究分担者 |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (30302615)
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | mRNA / GTP結合蛋白質 / 翻訳 / poly(A) / Poly(A)結合蛋白質 / 翻訳終結 |
研究概要 |
GSPTは、翻訳伸長因子EF1αと相同なC末端側領域に加えて、ユニークなN末端領域を有する。先に我々は、GSPTがC領域を介して終止コドンを直接認識する翻訳終結因子eRF1と結合しリボソームA部位に運搬するeRF3として機能することを証明した。この翻訳終結因子としての機能にはC末端領域のみで十分であり、N末端領域の役割については全く不明であった。我々はN領域においてポリA尾部結合蛋白質であるPABPと相互作用し、その機能を制御することを見出した。本研究においては、主に酵母を用いた遺伝学および生化学的解析から、GSPTによるPABPを介した遺伝子発現制御機構について検討を加えた。 その結果、GSPTはPABPとの結合を通して(1)mRNA分解の律速段階であるポリA尾部の短縮化においてmRNAの分解を制御すること、(2)翻訳を終えたリボソームを次のサイクルの翻訳開始にリクルートするShuntingを制御すること見い出した。従って、GSPTはCドメインを介して翻訳終結反応を遂行した後、NドメインでのPABPとの相互作用を介して次のサイクルの翻訳開始と、翻訳を終えたmRNAの分解過程への移行を厳密に制御していることが明らかになった。 また、GSPTと最も近縁のeRFSがCドメインを介して、eRF1と類似の構造を有する新規の因子eRFLと会合し翻訳の制御において機能すること、またNドメインを介してmRNAの分解に関わるAU rich配列結合因子であるグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)と機能的に相互作用するという知見を得た。さらに別のG蛋白質Ski7は、そのN領域を介してmRNAの3'側方向からの分解に介在するSki複合体とエキソヌクレアーゼ活性を有するエキソソーム複合体に結合することを見出した。 このように、GSPTファミリーに属するG蛋白質は、翻訳の制御に共役した形でそのN領域を介してmRNAの動態を調節するという、共通した遺伝子発現制御機構の存在が明らかにされた。
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