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2001 年度 実績報告書

テロメア短縮は個体老化の原因か

研究課題

研究課題/領域番号 12672111
研究機関広島大学

研究代表者

田原 栄俊  広島大学, 医学部, 助教授 (00271065)

研究分担者 井手 利憲  広島大学, 医学部, 教授 (60012746)
キーワードテロメア / テロメラーゼ / 不死化 / 老化
研究概要

1.早老症の患者より培養した繊維芽細胞を培養して経代を行った。これら細胞をサザン解析によってテロメア長を調べたところ、非常に早いテロメアの短縮が見られた。健常人からの繊維芽細胞でもテロメアの短縮がみられたが、HPA法によってテロメアのシグナルを定量したところテロメアの短縮率は、早老症由来の繊維芽細胞の方が優位に高かった。
2,.テロメアの短縮が、個体の老化に重要であると考えると、テロメア短縮率の高い早老症由来の繊維芽細胞においてテロメアを延長することによって早老症由来の細胞の分裂寿命が延長できる可能性が考えられた。テロメラーゼを強制発現させてテロメアを延長させることによる分裂寿命への効果をみた。テロメラーゼ遺伝子hTERTの導入によって細胞の分裂寿命が飛躍的に延び、細胞の形態も若い正常細胞に非常によく似ており、テロメラーゼの発現によるテロメアの延長は、早老症の患者由来の繊維芽細胞の寿命を延ばすことに成功した。
3.早老症以外の健常人由来の肝細胞、子宮頸部平滑筋細胞、胎児および成人由来の繊維芽細胞について由来年齢とテロメア長の相関をHPA法により調べたが、優位な相関性は見いだせなかった。しかし、hyperplasiaのような一種の前ガン病変で細胞増殖の盛んなところでは、正常組織に比べて優位にテロメアが短縮しているものがあり、染色体の不安定化による遺伝子変異の引き金にテロメアが重要である可能性が考えられた。
以上の本研究の成果をまとめると、テロメア長の減少が個体の老化とともに減少している組織はあるが、それが個体の老化の性質をすべて説明できるだけの結果は見いだせなかった。しかし、早老症患者由来の細胞は、強制的にテロメアを延長させることによって早老患者由来の細胞の性質が健常人様に変化し、その分裂寿命の延長がみられたことから、少なくともテロメアは、個体の老化にも重要である可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Tahara, H.: "Involvement of telomere shortening and telomerase in cell aging and immortalization"Gann Monograph on Cancer Research. 49. 147-163 (2001)

  • [文献書誌] Minamoto, T.: "Distinct pattern of p53 phosphorylation in human tumors"Oncogene. 20. 3341-3347 (2001)

  • [文献書誌] Matsutani, N.: "Expression of telomeric repeat binding factor 1 and 2 and TRF1-interacting nuclear protein 2 in human gastric carcinomas"Int J Oncol. 19. 507-512 (2001)

  • [文献書誌] Mueller, S.O.: "Immortalization of mammary cells from estrogen receptor alpha knock-out and wild-type mice"In Vitro Cell Dev Biol Anim. 36. 620-624 (2000)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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