(1)小動物用高解像度デジタル眼底カメラの製作と画像解析システムの構築:市販の小動物眼底観察用対物レンズ(Scalar VMS)と高解像度一眼レフ型デジタル・スチルカメラ(Nikon D1、274万画素大型CCD装備)を用いて、ラットやモルモットの眼底観察に充分な画像の鮮鋭度と分解能を有する眼底カメラを製作した。デジタルカメラを介して得られた眼底画像をメモリーカード及びハードディスク上に記録し、画像処理用及び画像解析用ソフトウェアを使って網膜細動静脈径を算出した。 (2)糖尿病ラットにおける網膜細動静脈の薬物反応性変化及びその機序に関する検討:糖尿病に起因する中枢血管の薬物反応性変化の詳細は、未だ充分明らかにされておらず、特に、in vivoにおける研究は殆どなされていない。ストレプトゾトシンを投与することで糖尿病ラットを作製し、糖尿病発症後6〜8週の間に実験を行った。各種血管収縮薬(フェニレフリン、アンジオテンシンII及びセロトニン)を静脈内に持続投与することで引き起こされる全身動脈圧、心拍数及び網膜細動静脈径の変化を検討したところ、3種薬物の種類に依存した異なる薬物反応性変化が観察された。 (3)高血圧ラットにおける網膜細動静脈の薬物反応性変化及びその機序に関する検討:SHR-SPは生後の発達に伴って血圧が急上昇するが、このような血圧変化が中枢血管の薬物反応性にどのような影響を与えるかについては、充分な検討がなされていない。SHR-SPを用いてRho-kinase阻害薬であるfasudilの作用を検討したところ、高血圧状態では、網膜細動脈のリン酸化が亢進している可能性を示唆する成績が得られた。
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