研究課題/領域番号 |
12672125
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田沼 靖一 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10142449)
|
研究分担者 |
塩川 大介 東京理科大学, 薬学部, 助手 (90277278)
|
キーワード | アポトーシス / DNase γ / ノックアウトマウス / ネガティブセレクション / クローナルデリーション / クラススイッチ |
研究概要 |
我々はこれまでに、アポトーシスの実行過程の顕著な特徴であるDNAのヌクレオソーム単位での断片化を司るエンドヌクレアーゼを完全精製することに成功し、これをDNaseγと命名した。DNaseγは中性領域に至適pHをもつCa^<2+>/Mg^<2+>-依存性、Zn^<2+>によって阻害される新規な酵素であり、現在ヒト、ラット、マウス、及びアフリカツメガエル由来のDNaseγ cDNAクローンの単離にも成功している。 DNaseγ欠損の影響を個体レベルで解析するためDNaseγノックアウトマウスの作製に着手し、昨年度の成果としてDNaseγ遺伝子の酵素活性中心をコードする配列を含むエキソン5をネオマイシンカセットで置換するターゲティングベクターを作製、ES細胞へのトランスフェクションを行ない、DNaseγ(+/-)ES細胞を得ることに成功している。 得られたDNaseγ(+/-)ES細胞を用い、常法によりキメラマウスを作製を行った。さらにC57BL/6マウスと交配し、ヘテロ変異マウスを樹立することに成功した。現在、このヘテロマウスを用いてホモ変異体の作製を行っている。さらにDNaseγ遺伝子の破壊が致死である場合を考え、Cre-loxPシステムを用いたコンディショナルノックアウトマウス作製用ベクターの作製にも成功した。 ホモ変異体が誕生した場合、DNaseγの生理機能について、胸腺におけるT細胞のネガティブセレクションや脾臓におけるB細胞のクローナルデリーションに異常はないか、またクラススイッチリコンビネーションに異常はないか、などの免疫系の面から詳細に解析する予定である。また、アポトーシスの異常に起因する癌、自己免疫疾患、神経変性疾患などの新たなモデル系となることが期待され、新規な治療薬及び治療法を開発する上でも重要な意義を持つと考えられる。
|