研究概要 |
高等動物酸性シアリダーゼはβ-ガラクトシダーゼ(β-Gal)や保護蛋白質などと複合体を形成していると考えられている。これら複合体を構成している成分間の相互作用と機能との関わりを明らかにする目的で、β-Galと保護蛋白質よるポリマー形成について検討するとともに、β-Galポリマーとシアリダーゼ、さらに78K蛋白や46K蛋白との相互作用について検討を行うこととした。相互作用は生体分子間相互作用をリアルタイムで測定できる装置BIACOREを用いて行うこととし、先ずβ-Gal及び保護蛋白質の分離とセンサーチップへの固定化について検討した。 先ず、β-Gal及び保護蛋白質を先に報告した方法に準じてウシ肝臓より精製し、電気泳動上単一の成分として分離した。これらの成分を用い、アミンカップリング法によるセンサーチップへの固定化条件を検討したところ、保護蛋白質成分の固定化には見通しが得られたたものの、β-Galはこの方法ではカップリングが困難なことが分かり、現在ビオチン化による固定化や抗体を用いた固定化を検討中である。 固定化の条件が未だ確立されないことから、相互作用に用いるシアリダーゼをイトマキヒトデ卵巣から、またブタ肝臓から54K蛋白(シアリダーゼ本体と考えられる)の分離精製、ヒト胎盤シアリダーゼ精製標品に含まれる78K及び46K蛋白の分離を行った。イトマキヒトデシアリダーゼの精製法や酵素学的諸性質についてはComp.Biochem.Physiol.,126B,561-569(2000)に発表した。
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