マウスゲノムライブラリーから単離した新規分子シャペロンであるOsp94遺伝子の上流領域(2.8kbp)のルシフェラーゼ系レポーター遺伝子の組み換え体を作成し、一過性発現系において、上流領域の解析を行った。すなわち、レポーター遺伝子を培養マウス腎髄質内層集合管(IMCD)細胞内にリポゾーム法により導入し、導入24時間後に、200mMマンニトール添加による高浸透圧ストレスまたは42℃、3時間の熱ストレスによる付加を与え、経時的に細胞を回収・溶解し、その上清におけるルシフェラーゼ活性をそれぞれ測定した。その結果、Osp94遺伝子の上流領域(2.8kbp)を有するレポーター遺伝子を導入したIMCD細胞のルシフェラーゼ活性はその領域を有さない細胞のものと比較し、顕著(約2倍)に増加した。また、熱ストレス付加においても、上流領域のレポーター遺伝子を有するIMCD細胞は、ほぼ4倍のルシフェラーゼ活性の増加を示した。 これらの結果から、単離したOsp94遺伝子の上流領域(2.8kbp)は高浸透圧ストレスおよび熱ストレスに応答するエレメントを有することが認められた。また、上流領域2.8kbの全塩基配列の解析の結果、実際に既知の熱ストレス応答エレメントが4つ存在することが明かとなり、レポーターアッセイの結果と一致することが認められた。さらに興味あることに、ベタイン輸送体遺伝子において報告された浸透圧応答エレメントに類似する塩基配列が存在することが明かとなった。上述したように、単離したOsp94遺伝子の上流領域(2.8kbp)に高浸透圧ストレスおよび熱ストレスに応答するエレメントが存在することが明かとなったので、今後は、さらにそのエレメントの詳細を解析する。
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