研究課題/領域番号 |
12672148
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
遠藤 玉夫 財団法人東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究室長 (30168827)
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研究分担者 |
萬谷 博 財団法人東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究員 (20321870)
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キーワード | アストロサイト / レクチン / 分化誘導因子 / 蛋白質チロシン脱リン酸化 / 老齢脳 / 細胞表面糖鎖 |
研究概要 |
細胞膜上の糖鎖とそれを認識する糖結合タンパク質は、細胞間コミュニケーションに大きな役割を果たしている。我々はチョウセンアサガオレクチン(DSA)が未成熟な多角形のアストロサイトから星状形態の成熟したアストロサイトに分化誘導することを既に報告した。本研究では生体内で糖結合性を有するアストロサイトの分化誘導因子として働く分子を明らかにすることを目的とした。DSAと同様の糖特異性を持っ、ガレクチンファミリー、なかでもタンパク質レベルで脳内に存在することが明らかになっているガレクチン-1をその候補と考え、検討を行った。新生ラット小脳由来の未成熟培養アストロサイトにガレクチン-1を加え、分化の指標となる形態、GFAP量、増殖性を調べた。また、細胞内シグナル伝達経路の阻害剤を加え、どの経路がガレクチン-1による誘導を掛っているかを検討した。ガレクチン-1添加により、未成熟アストロサイトは、星状形態に変化し、アストロサイト特異的な中間径フィラメントの構成成分であるGFAPが増加し、増殖性は著しく低下した。これらはこの現象が分化であることを示していたこの分化誘導は、ガレクチン-1のハプテン糖であるラクトースにより阻害された。また、ガレクチン-1による誘導はDSAによる分化同様、チロシン脱リン酸化酵素に対する阻害剤で、特異的に阻害された。以上、ガレクチン-1がアストロサイトの糖鎖に結合することにより、チロシン脱リン酸化を介して、分化を誘導することがわかった。老齢脳で出現するアストロサイトの誘導因子としてガレクチン-1を同定できた。
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