研究課題/領域番号 |
12672154
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
今井 輝子 熊本大学, 薬学部, 教授 (70176478)
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研究分担者 |
細川 正清 千葉大学, 薬学部, 助教授 (70181500)
武谷 惠 熊本大学, 薬学部, 助手 (10315294)
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キーワード | カルボキシルエステラーゼ / プロドラッグ / 加水分解 / エステル結合 / 分子設計 / 小腸ミクロソーム / 肝臓ミクロソーム / 発現系 |
研究概要 |
薬物の物理化学的あるいは生物学的特性を改善するために、水解酵素活性を利用した分子修飾が施されることがある。プロドラッグで代表されるこれらの医薬品を経口投与後の体内動態は、主に小腸および肝臓に発現するカルボキシルエステラーゼ(CES)活性に依存する。しかしながら、CES活性の動物種差が大きく、動物実験の結果がヒトに反映されないことに加え、ヒトCES特性が明らかにされていないため、理論的背景に基づくプロドラッグのデザインはなされていないのが現状である。本研究では、プロドラッグ開発の効率化を目的として、経口投与後の体内動態に最も影響及ぼす小腸および肝臓に発現するCESの基質特異性について検討した。 まず、CES1ファミリーに属するCESHU1とCES2ファミリーに属するCESHU3の哺乳動物細胞発現系を作成し、さらに、種々の分子サイズの基質を合成して、その加水分解活性を測定した。その結果、ヒト小腸ではCES分子種のHU3、ヒト肝臓ではHU1が代謝活性化に主要なアイソザイムであることが明らかとなった。CESHU3はアシル基の嵩高い基質を加水分解し難いのに対し、CESHU1はアシル基の嵩高さに関係なく触媒活性を示すものの、立体構造を良く認識した。さらに、CESHU1とHU3のアルキル側鎖の構造要求性は大きく異なった。一方、ヒト肝臓CES活性の個人差は主にCES発現量の差異に基づくことを明らかにした。これらの結果は、CESHU1とHU3の基質特異性の差異を利用することにより、小腸および肝臓の加水分解をコントロールしたプロドラッグのデザインが可能であることを示すものであり、さらに基質の構造特性を解析することによって、効率的なプロドラッグ開発に貢献できるものと考えられる。
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