研究概要 |
アロマターゼとエストロゲンスルファターゼの両酵素に阻害活性を持つ二機能性分子構築のための基礎的研究を、始めに本年度計画に追加した。すなわち、アロマターゼ天然基質アンドロステンジオン(AD)の6位エーテルとエステル置換体や4,5-epoxy誘導体によるアロマターゼ阻害活性を測定し、本酵素の活性中心部位の空間的構造と親電子的環境をより詳細に検討した結果、より幅広い構造を持つ二機能性分子を開発することが可能となった。 ついで、スルファターゼの不逆的阻害活性発現部位の構造として知られている、sulfamoyl基を持つ官能基として、p-sulfamoyloxyphenylとp-sulfamoyloxybenzyl基を取り上げ、ADの4位と6α位にこれら2つのsulfamoyloxy置換基の導入を試みた。3,3;17,17-Bis(ethylenedioxy)androstan-5α,6α-epoxideをRMgX(R=p-methoxyphenylとp-methoxybenzyl)とのグリニアル反応、SOCl_2による脱水反応、酸による保護基の除去とsulfamoyl基の導入反応に順次付し、6α-sulfamoyl誘導体を得た。一方、3β,7β-diacetoxyandrostan-4α,5α-epoxideを同様のグリニアル反応、Jones酸化反応、SOCl_2を用いる脱水反応に順次付した後、前述と同様にmethoxy基を処理し、4-sulfamoyl置換体を得た。 現在、これら化合物についてアロマターゼとスルファターゼ阻害活性を検討しているが、予備的実験にて、いずれの化合物も後者についてはestrone sulfamateに比べ弱いものであった。
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