研究概要 |
グルコース輸送担体(SGLT1)の機能解析:ラット小腸を用いた電気生理学的解析により、各種グルコシドの輸送活性を測定するとともに、速度論解析を行った。これまでに検討したフェニルグルコシドに加え、Escurin(M.W340.3)、Fraxin(M.W370.3)にも輸送性が認められ、Class Tに分類されるグルコシドを見い出した。また、phenyl β-glucosideを基準にして、Vmax(輸送性)に対する置換基の効果を検討したところ、p位の置換基については、NH_2>OH>NO_2の順となった。さらにo位に関しては、NO_2>CHO、CH_2OHには輸送性は認められず、置換基の輸送性に対する異なる効果を明らかにした。(第16回日本薬物動態学会年会、神戸にて発表)。一方、これらのグルコシドのMichaelis定数Km値(認識性)はほぼ全て同程度であり、グルコシドがSGLT1の機能に対して与える置換基の影響は、Vmax,Kmのそれぞれに対して異なることを見い出した(日本薬学会第122年会、千葉にて発表予定)。また、分子モデリング法により、グルコシドのコンフォメーション解析を行ったところ、これらのグルコシドは全て、^4C_1のチェアフォームであり、これまでに検討したβグルコシドと、同一基準により評価できることを明らかにした。 Caco-2細胞におけるSGLT1発現活性:p-nitrophenyl β-glucoside(p-NPglc)を基質としてSGLT1活性を調べたところ、有意な活性値は認められなかった。そこで、Tri-iodothyronine(T3)処理によるSGLT1輸送活性を検討したところ、p-NPglcの輸送が上昇し、Caco-2細胞がSGLT1活性の研究対象となり得る可能性が示された(日本薬剤学会第17年会、静岡にて発表予定)。
|