研究概要 |
本研究においては、当初D-fructoseから1,6-ditritylfrucose,p-nitrophenol-tetraacetyl-α-Dfructofuranoseを経てp-nitrophenyl-α-D-fructofuranoside(NPF)を合成する予定であったがうまく行かず、1,3,4,6-tetra-O-benzoyl-α-D-fructofuranoseを経由する方法に変更してNPFを収率よく合成することが出来た。次にp-aminophenyl-α-D-fructofuranoside(APF),p-(succinylamido)-phenyl-α-D-fructofuranoside(SAPF)を経て最終的にSAPF-GGYRを合成した(実施計画2)。しかしSAPF-GGYRの合成に時間を費やし、他のテトラペプチド、ペンタペプチドはGGGYGを除いて合成出来なかった(実施計画1)。次に^<125>IラベルしたSAPF-GGYRの腸管膜輸送機構をラット小腸上皮細胞から調製したBBMVを用いて検討した。^<125>I-SAPF-GGYRのBBMVへの取り込みはGGYRに比較して有意に大きく、オーバーシュート現象は認められなかった。また取り込みは高濃度のD-フルクトースおよび4℃条件下で有意に抑制された。以上の結果から、GGYRをフルクトシル化することによりBBMにおける膜透過が促進されること、SAPF.GGYRはGLUT5様な促進拡散型糖輸送担体を介して膜輸送されることが明らかとなった(実施計画4)。予定した計画3,5,6は上記理由により実施できなかった。平成12年度に得られた、グルコシル化インスリンのSGLT1への選択的吸着による吸収促進(発表論文1)、グルコシル化ペプチドSAPG-GGYRの側底膜側でのGLUT2による膜輸送、および本年度の結果を合わせると、フルクトシル化によりGLUT5を利用したペプチドの吸収改善が図れることが示された。フルクトシル化ペプチドの吸収機構を、さらにヒト腸細胞や組織を用いて検討する際に有用となる研究も合わせて行った(発表論文2,3)。
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