研究概要 |
本研究において、まず平成12年度にペプチドシンセサイザーを用いてFmoc法によりGGYR, GGYG, GGGYGを合成した。分析の結果、これらの純度は高く更に精製する必要がないことが分かった。次にPercoll密度勾配遠心法を用いてラット小腸からBLMVを調製し、Na^+-K^+ATPase活性、alkaline phosphatase活性から側底膜の分離が良好なこと、^3H-glucose取り込みの外液浸透圧依存性から小胞の形成が確認された。さらに^<125>Iラベルしたグルコシル化ペプチドSAPG-GGYRのBLMVへの取り込みを検討した結果、グルコシル化により取り込みが有意に上昇すること、cytochalasin B, phloretin、グルコースにより阻害されることから、取り込みがBML上に存在するGLUT2様トランスポーターを介して行われていることが確認された。またグルコシル化ペプチドのBBMにおける輸送機構に関しては、グルコシル化によるインスリンのSGLT1への選択的吸着により吸収促進されることが別途明らかにされた(発表論文1)。平成13年度にはD-fructoseからNPF, APFを経てSAPFを合成し、GGYRと反応させて最終的にSAPF-GGYRを合成した。この腸管膜輸送機構をBBMVを用いて検討した結果、フルクトシル化によりGGYRのBBM透過が有意に促進されること、SAPF-GGYRはGLUT5様な促進拡散型糖輸送担体を介して膜輸送されることが明らかとなった。しかし当初計画したSAPF-GGYRの側底膜側での輸送機構、フルクトシル化による酵素分解抵抗性、アノマーによる相違、およびペプチドの種類による相違を検討することはできなかった。フルクトシル化ペプチドの吸収機構を、さらにヒト腸細胞や組織を用いて検討する際に有用となる研究も合わせて行った(発表論文2,3)。
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