研究概要 |
新規ユビキノン(UQ)類縁体として、2,6-ジメチル-1,4-ベンゾキノン(BQ)類を合成し、それらの抗酸化作用を検討した。 1.新規UQ類縁体の合成 23種の3-又は3,5-アリルチオ-及びアルキルチオ-BQを合成した。 2.薬理活性の検討 (1)ミトコンドリア(Mt)における脂質過酸化(LPO)抑制作用の検討 UQ除去MtにUQ類縁体及びNADHを加え、Fe^<3+>-ADP存在下でLPO反応を行った。次いでTBA反応を行い、吸光度測定法によりLPOに対する影響を調べた。LPOを濃度依存的に抑制し、UQ-10やα-トコフェロール(Toc)に匹敵する抗酸化作用を示すUQ類縁体を得た。 (2)Mt電子伝達系に対する作用 コハク酸またはNADHを基質として、牛心臓Mt電子伝達系に対する影響をワールブルグ検圧法により調べた。Mt電子伝達系を濃度依存的に強く阻害するUQ類縁体を得た。 これらUQ類縁体には、UQH_2やTocよりも強いLPO抑制とMt呼吸鎖に対する阻害を示すものを認めた。しかし、その構造と薬理活性に明確な相関が認められなかため、従来の実験条件を改変して溶液中のラジカル捕捉作用とLPO抑制作用を検討した。 (3)溶液中におけるラジカル捕捉活性の検討 N, N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)は、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル(AMVN)由来ラジカルを補足し酸化される。DPPDとキノン類を共存させ、ラジカル捕捉活性を吸光度測定法により求めた。酸化反応の開始遅延や酸化速度の減少から、キノン類のラジカル捕捉作用を認めた。 (4)溶液中におけるLPO抑制作用の検討 リノール酸メチルは、ヘキサン中AMVN由来のラジカルにより酸化される。この系にキノン類を共存させ、LPO抑制作用を吸光度測定法により検討した。酸化型及び還元型キノンは、共にLPOを抑制することが分った。
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