研究概要 |
これまでレチノイン酸のアナログ化合物として9位のメチル基を種々の置換基にかえた化合物の合成に成功した.そこで今回は、13位のメチル基を他の置換基に変えたアナログ化合物の合成を検討した. 9E-β-イオニリデンアセトアルデヒドにヨウ化トリフェニル(ヨウ化メチル)ホスホニウムとのWittig反応後,塩基で脱ヨウ化水素を行い末端アセチレン体を収率よく得た.このアセチレン体に,リチウムトリブチルスタニルブチルシアノキュープレートを反応させ,末端スズオレフィン体へと誘導した.このスズオレフィンとβ-ケトエステルから誘導したE-トリフレート類とのカップリング反応を検討したところ,DMF-THF混液中,触媒としてPd_2(dba)_3,リガンドとしてトリフェニルアルシンを用いた場合,反応がスムースに進行しカップリング体を得た.このエステル体は常法によりアルカリ加水分解しall-E-レチノイン酸アナログへと誘導することができた.続いて,9Z-β-イオニリデンアセトアルデヒドを用いて,同様な反応経路により13位置換9Z-レチノイン酸アナログを合成することができた. また,レチノイン酸の2,6,6-トリメチルシクロヘキセン環を複素環に変換したアナログ化合物を,複素アリールアルデヒドを原料とし,アリールビニルスタナンへと誘導し,エノールトリフレート類とのカップリング反応を鍵反応としてall-E-および9Z-レチノイン酸アナログを合成することができた.今後,これらのアナログ化合物を用いて生理活性試験をおこなう予定である.
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