研究課題/領域番号 |
12672167
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医薬分子機能学
|
研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
岩田 修永 理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 研究員 (70246213)
|
研究分担者 |
津吹 聡 理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, テクニカルスタッフ(研究職) (20217368)
西道 隆臣 理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, チームリーダー(研究職) (80205690)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / 中性エンドペプチダーゼ / ネプリライシン / ノックアウトマウス / RI標識 / 分解システム / 老化 |
研究概要 |
In vivoで機能するβ-アミロイドペプチド(Aβ)分解酵素を同定するために、トレーサーとして^3H,^<14>Cで多重標識したAβ1-42を化学合成し、この標識ペプチドをラット海馬内に注入し経時的な分解を観察した.この実験システムにおいて各種ペプチダーゼ阻害剤を前投与することにより、ペプチダーゼ阻害剤チオルファンに感受性の中性エンドペプチダーゼ(ネプリライシンファミリー)をAβ分解酵素として同定した.次に、チオルファン感受性ネプリライシンファミリーに属する数種のエンドペプチダーゼをクローニングし、リコンビナント標品によるAβ分解活性を調べ、ネプリライシンが最も効率良くAβ1-42を分解することを明らかにした.また、ネプリライシン欠損マウスを用いた実験から、このマウスの脳では著しいAβ分解活性の低下と変異型プレセニリン1トランスジェニックマウス脳に匹敵する内在性Aβレベルの上昇が認められた.これらの結果は、Aβ蓄積過程における分解システムの重要性を示すと共に脳内ネプリライシン活性の低下はAβ蓄積を誘発する要因になることを示している.一方、加齢に伴う脳内ネプリライシン活性の変動を明らかにする実験では、マウス海馬のネプリライシン活性が加齢に伴って低下し、2.5年齢で10週齢のレベルと比較して20%の低下が観察された.視床、線状体および小脳ではこのような低下は認められなかった.このように、アルツハイマー病(AD)で脆弱な部位である海馬でネプリラシンレベルを低下させる要因の一つは加齢であることが明らかになった.最近では、孤発性AD脳でネプリライシンの発現レベルが選択的に低下していることが認められ、ヒトの場合でも分解系の低下とAβ蓄積の因果関係が示されている.従って、脳内ネプリライシンレベルを上昇させることはAD克服の新しい標的になる.
|