研究概要 |
1 PCB混合製品であるKanechlor 500をラット,モルモット,ハムスターに投与した後の肝臓,血液中の残留性代謝物を比較し,PCB代謝の動物種差を検討した。 (1)ラットの血液には4-OH-2,3,5-trichloro型だけが,組織中には3-および4-MeSO_2-体がぼぼ同量残留した。(2)モルモットの血液には数種のCH_3SO_2-OH-PCBが,また肝臓中には3-MeSO_2-体が特異的に検出された。(3)ハムスターには血液中には多種の未知水酸化体が高濃度で検出されるが,肝臓ではMeSO_2体の残留は極微量であった。(4)三種動物にフェノバルビタール,メチルコラントレン前処理した後,PCB投与しても残留代謝物の組成,濃度に大きな変化は見られなかった。 2 臭素系化合物2,2',4,5'-tetrabromobiphenyl(TBrB)の体内動態をラットを用いて検討した。組織中に3-および4-MeSO_2-代謝物の残留が認められた。これらの代謝物の投与実験から3-MeSO_2体のみが強力なフェノバルビタール型の代謝酵素誘導作用を示すことが明らかになった。 3 海棲哺乳動物(ゴマフアザラシ,知床半島沖,北大西洋,スジイルカ,地中海)の肝臓中PCB代謝物の分析の結果,MeSO_2-PCBおよびOH-PCBを検出した。ゴマフアザラシ肝臓中の主代謝物は3-MeSO_2-2,5,6,2',4',5'-hexaCBで,未変化体の2〜14倍の濃度であった。一方,スジイルカでMeSO_2体の残留は微量で,代謝能に両者で大きく種差があることが分かった。
|