研究概要 |
1 PCBのin vitro代謝 (1)PCB(カネクロール500)を基質として、ヒトP450によるin vitro代謝実験を行った結果、CYP2B6,CYP2C9,CYP1A6で水酸化体を検出し、その化学構造を推定した。 (2)ラット、ハムスター、モルモットの肝ミクロゾームを用いて、2,2',3',4,4',5-Hexachlorobiphenylのin vitro代謝実験を行った結果、水酸化反応に大きな種差があり、モルモットの代謝能が最も強く、この代謝能はフェノバルビタール前処理で促進された。また、生成した水酸化体の化学構造を決定した。 2 環境生物中の塩素系/臭素系残留成分の検索 (1)一般人の血清中に検出されたPCB水酸化体の化学構造を決定するため、15種のOH-PCB標準品の合成を行い、生体中の成分の化学構造を推定した。 (2)鯨肉中に残留するメチル水銀、有機スズ、有機塩素系成分の組成と濃度を調べた。新たに臭素系難燃剤としてポリ臭化ジフェニルエーテルが3種検出された。それらの汚染レベルは鯨種および製品によって、大きく異なった。また、食品としての安全性について評価した。 3 PCBおよび臭素系難燃剤の体内動態と影響 (1)2,2',4,5,5'-pentaclorobiphenyl、2,2',3,3',4,6'-heaxachlorobiphenylおよびKanechlor5O0のラット、マウスにおける血清ホルモンレベルに与える影響について調べた。PCBによる血清のT3,T4レベルの低下と肝UDP-GT活性増加との関連性が示唆された。 (2)臭素系難燃剤2,2',4,5'-tetrabromobiphenyl(TBrB)の代謝物3-MeSO_2体は、ラットにおいて強力なフェノバルビタール型の肝薬物代謝酵素誘導作用があることが分かった。3-MeSO_2-TBrB投与のラットにおける血清中甲状腺ホルモンレベルに変動は見られなかったが、肝UGT2B1,UGT1A1/6を誘導することが分かった。
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