研究概要 |
1 PC8のin vivo代謝における動物種差 2,4,5,2',5'-pentaCB,2,3,4,2'.3',6'-hexaCB (CB132)をラット,マウス,モルモット及びハムスターに投与した後のPCB代謝物(OH-PCB, MeSO_2-PCB)の組織,血液残留パターンに大きな違いが見られた.ハムスター血清にはCB132由来のcathechol体が残留した.Kanechlor 500をUDP-GT欠損Gunnラットに投与すると,血清に2,3,6,3',4'-pentaCB由来のカテコール体がWistarラットより遥かに高濃度で残留した. 2 Polybrominated biphenyl (PBrB)の代謝と生体影響 PBrBの代謝物3-MeSO_2-2,4,2',5'-tetraBrBは強力な肝薬物代謝酵素(CYP2B1/2)誘導作用を示した.しかし,血清T4レベル低下作用はほとんど見られなかった. 3 市販鯨肉の化学分析と生体影響 皮脂からPCBやDDTなど残留農薬のほか,臭素系化学物質が数種検出された.鯨肉から抽出した有機ハロゲン化合物をマウスに投与すると,血清T4レベルが低下し,GPTやamylaseなどの生化学検査値が変動した.同じ抽出物をラット培養胎児に暴露すると,器官形成期の胎児に発育不全,口唇裂などの異常が浪度依存的に観察された. 4 ヒト肝臓中のPC8代謝物 27のMcSO_2-PCB異性体を用いて,負イオン化CI/MSによる定量法を確立し,ヒト肝臓中のMeSO_2-PCBを定量した.主成分は2,3,4,2',3',6'-hexaCB由来の5'-MeSO_2体で,総MeSO_2-PCB量の約60%を占めた.他に,CB87,CB101,CB149由来のMeSO_2体を検出,定量した.
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