研究課題/領域番号 |
12672184
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
鳥羽 研二 杏林大学, 医学部, 教授 (60155546)
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研究分担者 |
阿古 潤哉 東京大学, 医学部・附属病院・老年病科, 助手 (60292744)
秋下 雅弘 杏林大学, 医学部, 講師 (00261975)
飯島 節 筑波大学, 大学院・教育研究科・リハビリテーションコース, 教授 (80193126)
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キーワード | ケアの質 / 痴呆患者のQOL / 意欲の指標 / ADL / 意欲の自然経過 / 意欲と生命予後 |
研究概要 |
老人医療介護の最重要問題はケアの質の確保であるが、ケアの質の判定には、痴呆性高齢者のQOLをいかに測定するかと言った未解決の問題がある。本研究は、新しく開発した意欲の指標「Vitality Index」が痴果性高齢者のQOL測定尺度としての妥当性を検証し、チーム医療看護の共通言語としての実用性を検討することにある。 本年度は残された課題「意欲が高齢患者のロングタームケアにおいて自然経過でどのように変化するかの前向き研究」及び高齢痴呆患者のロングタームケアにおいて、意欲が生命予後に及ぼす因子分析」の2項目を行った。 ロングタームケアにおいて「意欲」が自然経過でどのように変化するかについて、老人保健施設入所者で検討した。対象は29名(平均年齢84.3±1.3歳)。入所後1週後の安定した時期に、ADL(Barthel Index;100点満点)、意欲の指標(Vitality Index;10点満点),ムード(GDS;30点満点)を測定し、同様の検査を入所1ヶ月後、3ヶ月後・6ヶ月後に施行した。ADL、Vitality Index、GDSは6ヶ月まで有意の変化を示さなかった。老人保健施設においては6ヶ月までは意欲の低下は認められない。意欲が生命予後に及ぼす因子分析は療養型病床群入院292名の高齢者に対して、全例に年齢、性、ADL(Barthel Index)、Vitality Index、Communication障害(視覚、聴覚、会話;3段階評価)を調査し、1年6ヶ月後に予後調査を行って生命予後に関わる因子分析を行った。 (結果)予後調査は268名92%が可能であった。Cox比例ハザードモデルにおいて、性別(女性が生命予後良好)と意欲の指標のみが生命予後を規定する有意の因子であった。意欲の指標は点数の減少と生命予後はログランク検定で有意であった(P<0.003)、(結論)要介護高齢者の生命予後には日常生活活動度より、意欲が重要である。
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