研究概要 |
広島市消防局管内(サービス対象人口約106万人;安芸区を除く広島市全域)において発生した病院外心停止症例の,ウツタイン様式に基づいた調査4年4ヶ月間(1998年9月〜2002年12月)の全データを解析した.心肺蘇生術の適応症例は2086例(45.4例/人口10万/年)であり,心原性心停止は1041例(49.9%),そのうち市民に目撃された症例は403例(38.7%),そのうち初期心電図が心室細動(VF)であった症例は116例(28.8%)であった.また救急隊目撃の心原性心停止は99例(9.5%),そのうち初期心電図VFは22例(22.2%)であった.市民に目撃された心原性VFの生存退院は15例(12.9%),救急隊目撃のVFの生存退院は11例(50.0%)であった. 当研究の実施期間に一致して,わが国のプレホスピタル・ケアを推進する上での地域ごとの作業としてメディカルコントロール(MC)体制の構築が進み,救急救命士による包括的指示下の除細動が開始となった(2003年4月).本研究の内容がMCを行う上での欠かせない基盤となったことを評価されて,研究代表者は広島県MC協議会運営部会委員および二次救命処置コースマニュアル作成部会長に推され,本研究の成果をプレホスピタルにおける医学教育に直接結び付ける機械を与えられている.本研究の結果は,包括的指示下の除細動開始による病院外心停止症例の生存退院率の向上を明らかにする上での対照データになることが約束されている.
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