研究概要 |
高齢社会の到来に備えて、高齢者の日常生活動作(activity of daily life,ADL)阻害と生活の質(quality of life,QOL)改善対策は急眉の問題である。日本循環器管理研究協議会では、老年者(満65歳以上)のADL、QOLの実態調査を平成11年度に立案した。この調査では一般老年者という当初の目的に合致するため、少なくとも以下の条件を満足させる必要があった。第1点は日本全国から隔たりのない老年者のサンプルを収集することである。このため、すでに生活習慣病(成人病)の調査や対策が実施されている12地域(北海道から沖縄まで網羅する)を選んで、各地域から無作為抽出された老年者集団を設定し、各集団の背景因子を比較しながら、データの集計(data-pooling)を行うこととした。第2点は老人のADL、QOLの実態をよく反映する質問票(questioneer)を作成することである。今回の調査は自記式、郵送法によったため、特定の疾患にかたよらず内容が簡便で平易(答えやすい)であることに重点を置いて考案した。調査は平成12年4月から平成12年10月にかけて実施した。調査対象地域は北海道1(端野町)、関東・甲信越4(東京都、協和町、白州町、一宮町)、中部1(赤羽根町)、関西1(安土町)、中国・四国2(広島市、野市町)、九州・沖縄3(久山町、千歳村、糸満市)で、満65歳以上の男女13,006人からデータを収集しえた。調査内容の詳細は省略するが、ADL19項目、QOL3項目、疾病保有調査17項目を含んでいる。本研究では高齢者のADL阻害がその後の生命予後にどのような影響を与えるかを知る目的で、先ず高齢者のADL阻害の程度をBarthel indexを用いて評点化を試みた。その後、すべての対象者をの生命予後と死因を平成12年10月から平成13年12月までの1年2ヵ月にわたって調査中である。本年度はすべての対象者のADL阻害の程度を評点化することを完了した。
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