研究概要 |
医療連携の対象として最適な施設を選定するためには,各々の施設の持つ客観的な医療機能の情報に基づいて判断することが重要と考えられる。本研究では,平成6年度より連携を希望する地域の医療機関の情報をアンケート調査により収集している東京都内N大学病院を対象に,医療連携に必要な機能情報と課題の検討を行った。現在,集められている主な情報内容は,診療科目,診療曜日・時間帯,得意とする診療分野,往診対応可否,訪問看護実施可否,対応可能な通院医療や在宅医療の内容,および患者紹介・逆紹介の実績数などである。しかし,これらの情報を利用しての他施設への患者紹介は,正確な状況は把握できないが,それほど多くはないと思われる。これは,診療実績や経験・資格など医療機能の情報内容が不十分,情報が更新されていない等の原因があると考えられる。 インターネット上での医療情報の提供・利用については,既存の複数の調査により,情報提供手段としての有用性や医療情報を評価する仕組みの重要性が指摘されている(平成11年度厚生科学研究「インターネット上の医療情報の提供と利用の実態に関する調査研究」等)。また,患者などの意識調査や医療提供者の意識調査も行われており,代表的な疾患についての平均在院日数や平均医療費,専門とする疾患の手術等の実施件数や診療成績などの公開も重要という指摘がなされている。本研究で実施した東京都内の特定機能病院のホームページ内容の分析では,専門領域について情報提供を行っている施設の割合・内容とも以前に比べ増加しているものの,症例数などの診療実績については情報提供が進んでいない状況がみられた。次年度は,定量的な調査に限らずフォーカスグループによる面接調査などの定性的な調査を検討し,必要な医療機能情報の内容を明らかにしたい。
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