研究課題/領域番号 |
12672204
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類遺伝学
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
武部 啓 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (10028318)
|
研究分担者 |
巽 純子 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80128222)
伊藤 哲夫 近畿大学, 原子力研究所, 助教授 (10140352)
安田 佳子 近畿大学, 医学部, 教授 (10025629)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2001
|
キーワード | ヒトゲノム / 遺伝相談 / 遺伝子医療 / 生命倫理 / WHO / HUGO |
研究概要 |
研究目的: 遺伝子医療の推進には倫理的な配慮が不可欠であり、平成13年3月には、政府の指針(3省庁指針)が公表された。しかしその内容には日本の医療の現状に必ずしも合致しない点があるとともに、これまで公表されているいくつかの国際的な機関の指針とは異なる内容がある。本研究は、これまでに公表されたり、審議中である国際的な関連指針と、日本の指針を対比検討し、日本の現状に適合した指針を提言することを目的とする。国際的な指針と日本の指針が異なる場合には、その理由を検討し、それでいいのか、日本の現状を改善すべきか、さらには国際的な指針の改定を提言すべきか、などを検討、研究する。 研究成果と考察: 日本の3省庁指針と、代表的な国際指針である世界保健機関(WHO)の指針、および研究代表者が副委員長として参加しているヒトゲノム角斬国際機轍HUGO)倫理委員会が公表している指針等(複数)の比較検討と討議に重点をおいて研究した。日本の指針は国際的な指針と2点において大きく異なっていることがわかった。ひとつは遺伝情報の血縁者への告知であり、もうひとつは遺伝相談の実施である。日本の指針は遺伝情報は原則として本人の秘密事項であり、血縁者への告知には本人の同意か、倫理委員会の決定が必要としているが、国際的には血縁者にはすべての遺伝情報を告知するのが当然となっている。なぜそのような違いが生じたのかについて、国の委員会委員にたずねたり、本研究のメンバーで討議した。その結果、国際的基準との違いは、日本人と西洋の人との個人た家族といった概念の違いによるのではないか、という意見が、公的な立場矢か政府の委員などから聞かされた。しかしながら本研究において討議した結果、一番問題になるのは、日本の医学者、医師の遺伝学の理解が極度に不足していることであるとにお結論に達した。その詳細については、本研究に関連した発表の論文に論じた。 遺伝相談は国際基準も、日本の指針も重視しているが、日本にはそれを担当できる人材が極度に少ないことを3省庁指針は無視している。たとえばアメリカでは遺伝相談員は、修士課程において遺伝相談(genetic counseling)を2年間専門的に学んだ人達であるのに対し、日本の遺伝カウンセラーは関連学会の2-4週間の講習会を受けた人達である。また、日本の保険医療では、遺伝カウンセリング健康保険点数が定められていなくて、保険診療に組み入れられていない。そのような実情を無視した政府指針となっているのはきわめて遺憾であり、緊急に改善を求めたい。
|