研究課題/領域番号 |
12672206
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
細谷 健一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70301033)
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研究分担者 |
片山 和憲 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (70126514)
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キーワード | 血液網膜関門 / 網膜毛細血管内皮細胞株 / 網膜ペリサイト株 / 増殖抑制因子 / 共培養 / TGFβ1 / 条件的不死化細胞株 / 液性因子 |
研究概要 |
温度感受性SV40 T抗原遺伝子導入トランスジェニックラットから樹立した条件的不死化網膜毛細血管内皮細胞(TR-iBRB)と条件的不死化網膜ペリサイト株(TR-rPCT)を用いて両細胞間における細胞間相互作用因子を解析することを目的とした。TR-iBRB細胞とTR-rPCT細胞とをインサートの上側と下側にそれぞれ播種した接触系およびTR-iBRB細胞をインサート上側に播種し、TR-rPCT細胞をdish上に播種した非接触系の共培養系を用い、さらにTR-rPCT細胞を無血清培地で24時間培養した培地を濃縮した培地をもちいて、TR-iBRB細胞の増殖性および増殖に関与する因子を解析した。非接触系の共培養(濃縮していない培地)では、TR-iBRB細胞単独培養と比較して増殖に有意な違いは示されなかった。一方、接触系の共培養系においては、TR-iBRB細胞の増殖性はTR-iBRB細胞単独培養と比較して、培養開始4日までは違いが示されなかったが、5日目で39%、6日目で43%有意に減少した。2倍に濃縮した培地を用いた場合、TR-iBRB細胞の増殖はコントロールと比較して培養4、5、6日目で22%、36%、41%減少した。同様に5倍の濃縮では56%、74%、69%減少した。従って、TR-rPCT培地中因子の濃度依存的なTR-iBRB細胞の増殖抑制作用が示めされ、何らかの液性因子が増殖に関与していることが示唆された。この液性因子がタンパク質であるか、低分子の物質であるかを解析する目的でTR-rPCT細胞培養5倍濃縮液に対する熱処理の影響を解析したところ、TR-iBRB細胞の増殖抑制は熱処理で消失したことから、熱処理で変性するタンパク様の物質がTR-iBRB細胞の増殖抑制に関与していることが示唆された。さらに、TR-iBRB細胞にTGFβ1を添加して細胞増殖に対する影響を解析したところ、10ng/mlのTGFβ1で増殖抑制が示されたことから、TGFβ1の関与の可能性も示唆された。
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