研究課題/領域番号 |
12672209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用薬理学・医療系薬学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
東 洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (20134736)
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研究分担者 |
尾林 聡 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10262180)
辻井 俊彦 独協医科大学, 医学部, 助教授 (90217307)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | アルドース還元酵素 / 内膜肥厚の増悪 / 内因性NOS阻害物質 / エンドセリン-1 / 高血糖 / 一酸化窒素 / ポリオール経路 / ソルビトール |
研究概要 |
ヒト子宮動脈16標本についてcyclic GMP基礎産生量を測定したところ、2.0-16.1 pmol/mg proteinの高値を示す8例(第1群)と0-1.0 pmol/mg proteinの低値を示す8例(第2群)とに分類出来た。この二群について以下の3つのパラメーターを比較した。すなわち、アセチルコリン刺激時の正味cyclic GMP産生量は第1群において有意に多く、内皮細胞中NOS阻害物質(L-NMMA+ADMA)濃度ならびに血管壁エンドセリン-1含量はいずれも第2群において有意に高かった。第1群の全ての標本が組織学的にほぼ正常であったのに対して、第2群の標本では中等度から高度の内膜肥厚が観察された。追加した19標本を含む35標本について解析した結果、内膜肥厚の程度と内皮細胞中NOS阻害物質濃度との間、内皮細胞中NOS阻害物質濃度と血管壁エンドセリン-1含量との間、血管壁エンドセリン-1含量と内膜肥厚の程度との間にはそれぞれ正相関が認められた。すなわち、内皮細胞中NOS阻害物質濃度および/または血管壁エンドセリン-1含量の増加につれて内膜肥厚が増悪することが示された。内皮細胞中にNOS阻害物質が蓄積するとNO産生は低下し、血管壁エンドセリン-1含量の増加を招き、そのために内膜肥厚が発症・進展することが示唆された。 アロキサン(100mg/kg)一回静注12週後の高血糖ウサギと同容量の生食のみを静注した週齢の一致した対照ウサギとを用い、一側総頸動脈に内皮剥離術を施行した。4週経過後にウサギを屠殺し、以下の実験に供した。なお、アルドース還元酵素の選択的阻害剤であるフィダレスタットの影響を観察する場合には内皮剥離術施行1週前から4週後にわたる5週間、飲料水に混ぜて投与した(3mg/kg/220ml//day)。内皮剥離術施行4週後には明らかな内膜肥厚が観察され、この内膜肥厚は高血糖によって有意に増悪した。この増悪は再生内皮細胞中NOS阻害因子の蓄積促進、再生内皮細胞によるNO産生低下亢進ならびに血管壁エンドセリンの蓄積促進を伴っていた。また、腹部大動脈内皮細胞中ソルビトール含量は高血糖群において著明に増加していた。これら高血糖に伴う変化は何れもアルドース還元酵素の選択的阻害剤であるフィダレスタットによって抑制された。以上の事実から、アロキサン誘発高血糖ウサギでの内膜肥厚増悪にポリオール経路活性化の関与が示唆された。
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