脳血管における虚血・再灌流が再現よく出現する動物モデルの報告はほとんどない。そこで我々はまず、そのモデルの開発に着手し成功した。我々の教室で開発した光増感反応を脳血管に応用しモデルを開発した。そのモデルを使用し、脳梗塞進展において虚血・再灌流がどのような役割をしているか検討した。まず、興味を持ったのは脳血栓及び塞栓症の治療に多く用いられる抗血栓薬や血栓溶解薬は脳出血という予後に大きく影響をする副作用を有している。しかし、そのメカニズムは解明されておらず、予測は不可能である。また、その脳出血に虚血・再灌流が大きく関与していることは考えられているが、そのメカニズムは未だ不明であるぞこで、抗血栓薬であるヘパリンによる脳出血がどのようなメカニズムで起こるかを検討した。ウサギ脳血栓モデルを作成した。そのモデルにヘパリンを投与すると脳出血が出現し、神経症候が悪化した。この状態にラジカルスカベンジャーを併用すると、ヘパリンによる脳出血が抑制され、梗塞症の縮小が認められた。この結果から、ヘパリンによる脳出血にラジカルが関与していることが示唆された。このモデルは、脳血管が血栓にて虚血・再灌流を繰り返すモデルであり、虚血・再灌流によりその下流にラジカルが産生され、それが脳出血を引き起こしたことが考えられる。ラジカルは、血管内皮を傷害し血管を破綻させて、脳出血を起こすことが考えられるが、それ以外のメカニズムも十分考えられさらなるメカニズムの解明が必要と思われる。
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