研究概要 |
研究目的:本研究は重篤な障害を生じるにもかかわらず予測不可能で確定診断が困難なTypeB adverse drug reaction (ADR)の発症機構と危険因子を障害局所の薬物代謝から解析し、診断と予防に役立てることを目的とする。 研究成果:昨年度は、呼吸器系ADRの原因薬物215種類(795症例)の解析を行ったが、本年度は視点を変えて1)特定の薬物:カルバマゼピン服用者294例の低Na血症56例、白血球減少症78例、γGTP上昇102例、GTP上昇78例を抽出して、それらの危険因子を解析した。 また2)薬物代謝酵素の遺伝的多型の影響をみるために、口腔粘膜ぬぐい液を用いたDNA抽出方法とcytochrome P450 (CYP) lAl, CYPlA2, CYPlB1, glutath S-transferase (GST)Pl, GSTMl, epoxide hydrolase, N-acetyltransferase他の多型解析方法を確立した。現在は3)バルプロ酸やゾニサミド等、複数の抗てんかん薬に拡大してType AとType B ADRの発症機構の相違について検討中である。 今後の計画:これまでの解析結果と収集症例の知見をもとに、新規Type B症例について新たな診断方法を試みる。すなわち本法では従来の薬物によるリンパ球幼若試験に薬物代謝酵素の発現系を添加することによってreactive metabolitesを有効に生成し、少ない血液で高い診断率を得ることを期待する。また、Type B ADRの発症機構における薬物代謝酵素の役割や遺伝的多型の意義について総合的に解析する。
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